2/20 カンボジア(シェムリアップ)到着

午前5時、大して眠れなかったが荷物の最終確認をして成田空港へ向かう。
まだ外は真っ暗だが、電車内は学生、サラリーマンなどでそれなりに混んでいる。

今回の旅行では漠然とカンボジア、タイ、ラオスに行こうと思っていた。だがラオスは調べてみてもあまり行きたい所もなく、まあのんびるするために行ってみるか、くらいの気持ちであった。しかしふと頭にミャンマーという言葉が浮かび、そうかミャンマーか、秘境っぽいイメージだしぜひ行ってみたいということでラオスではなくミャンマーに行くことにした。

最初に向かうのはカンボジア。ただし直行便はないのでタイのバンコクを経由していく。
割とドタバタで準備してきたからか、空港に着いてもこれから海外に行くという実感が全くない。しかし機内に入りいよいよ離陸となると途端にワクワクしてきた。無事たどり着けるのかという不安や緊張もあったが、飛行機が日本を離れるとそういった思いもどこかへ飛んでいってしまった。

約7時間のフライトの後、着陸態勢に入りバンコクが見えてきた。家やビルが立ち並んでいて、だいぶ栄えているようだ。空港に入ると香ばしいスパイスのような香りとタイ米の香りがする。気温もだいぶ暖かい。手荷物検査官はイスからずり落ちそうなくらい浅く座り、「あーもうこの仕事辞めたい」とでも思ってそうなくらい精気のない目をしていた。

早々にバンコクを離れ、夕方にシェムリアップ空港に到着した。飛行機から出るとむせ返るような熱気が襲ってくる。とても長袖なんて着てられない。

無事イミグレを抜け外へ出ると、カンボジア人が柵から身を乗り出す勢いで渡航者の名前が書かれた紙を掲げている。待っているというより我先にと群がっているという感じだ。

さてここからとりあえずホテルに向かわなければならない。カンボジアの主な交通手段はトゥクトゥクやバイクタクシー、通称バイタクと呼ばれる原付バイクがあり、値段は日本のタクシーのようにメーター制ではなくいちいち交渉するらしい。カンボジアの通貨はリエルだが、基本はUSドルで支払うらしいので特にUSDからリエルへの両替は必要ない。あらかじめ調べておいたところによると、シェムリアップ空港から市内へは3ドル〜5ドルが相場ということだ。

空港の敷地を出るとすぐに客引きが「トゥクトゥク?」と声をかけてきたが、顔も見ずに「No」と振り払った。
というのも、本当はインドに行くつもりでインドの情報を調べていたのだが、インドの空港では客引きのトゥクトゥクに乗ったら全然違う場所に連れて行かれ法外な料金を請求されたとか、ドライバーに誘われ家でごちそうになったら睡眠薬が入っていて身ぐるみはがされたとか、恐ろしい体験談をたくさん見ていたからだ。
空港外の道路に出ると、トゥクトゥクは停まっているがドライバーの姿は見えない。辺りを見回しているとさっきのドライバーがまた声をかけてきた。
「ホテルに行くんだろ?どのホテルだい?」
とりあえず値段だけでも聞いてみようと思い、ホテルの地図を見せ3ドルだと交渉し、
「5ドルでどうだい」
相場の範囲内ではある。
「ホテルに電話してみるよ」
と地図に載っていたホテルの電話番号に電話しはじめた。ホテルには繋がらなかったがすぐには他のトゥクトゥクも見つからなさそうなので、不安だがこのトゥクトゥクに乗ることにした。

トゥクトゥクの座席

しばらく走ったところで急にトゥクトゥクが止まった。
「やっぱり7ドルでいいかな」
「は?5ドルって言っただろ」
「ホテルが街から少し離れてるんだ。さっきからホテルにも電話してるけど繋がらないんだよ」
なんて悪質なんだ。このまま乗ってたらインドみたいに変なところに連れて行かれるんじゃないかと一気に不安が大きくなる。
「じゃあここを通る他のトゥクトゥクに乗り換える」
と少し待ってみるが、車通りも少なくトゥクトゥクはなかなか現れない。ドライバーはずっとこちらを見ている。
空港に来て早々重大な選択を迫られている気がする。ここで降りたところで、こんな歩行者もおらず車も少ない場所でバックパックを背負った観光客が立っていたら、他のトゥクトゥクにも足元を見られるかもしれない。そしていついつやってくるかわからないトゥクトゥクをじっと待つのも嫌だったので、結局7ドルで手を打ってしまった。

再び動き出すが全くもって信用できないし、徒歩のように好きに動けないので自分の運命を握られているのが怖い。そう速いスピードではないので、いざとなったらどう飛び降りるかを考えていた。
他の道路との合流があり、一気に交通量が増えたところで飛び込んできたのは今まで見たこともない光景だった。
色黒のまさに東南アジアの人だらけだ。原付にヘルメットもせずに二人乗り、四人乗りまでする人、トラックの荷台に乗り込む人々、少しでも隙間があれば平気で割り込みする車。
全ての光景がカオスで新鮮で、不安な気持ちよりワクワクが勝り夢中でシャッターを切った。



途中トゥクトゥクが止まり、ガソリンを入れると言う。ガソリン代を要求されるんじゃないかと思い
「絶対ガソリン代は払わないからな」
と言うと
「ノーノー俺が払うよ」
と笑顔で答えた。
立ち寄ったのはガソリンスタンドではなく個人経営の路面店のような店。見ると酒のボトルにガソリンが入っておりそこから注いでいる。日本じゃ信じられない光景だ。



30分近く走って細道に入ったところでやっとホテルを見つけた。よかった変な所に連れて行かれずに済んだ。アンコールワットを周るならまたドライバーになると言われたが、信用はしていないので全くその気はないと断った。

泊まるホテル

ロビーには中年男性が一人おり、ハローと声をかけてきた。予約してきたことを伝えると別の部屋に案内されチェックインの手続きをする。アンコールワットを巡るなら足が必要だからホテルで手配するかと料金表を見せられたが、さっきのドライバーだけでなくカンボジアという国自体を疑っているので、後で決めると言っておいた。
部屋は12畳くらいのシングル。とはいえベッドはダブルくらい大きい。日本のような清潔さはないがシーツもきちんと洗濯されているようだし悪くない。

オーナーにレストランの場所を聞こうとロビーに行くが見当たらない。座っていたカンボジア人にどうしたのかと話しかけられたので飯が食べたいと伝えると、自分はバイタクのドライバーだから店のたくさんあるパブストリートまで連れて行こうかという。さらにこっちが日本人だとわかると日本語で話しだした。ホテルお抱えのドライバーだろうか、なかなか流暢だし値段も片道2ドル、往復で3ドルと高くないのでお願いすることにした。

ホテルの外に停めてある原付に乗り、ドライバーはヘルメットを付け、自分はノーヘルで走りだす。道はそれなりに混んでいてスピードも遅いので怖くはない。さっきまで異様だと思っていたことを早速自分が体験するとは思わなかった。


すっかり日も落ちたところでパブストリートとやらに到着すると、ネオンがギラギラしてそこら中を欧米人が歩いている。なんだここは、有名な観光地なんだろうか。ドライバーと2時間後に待ち合わせしてパブストリートを歩いてみる。


どの店もうまそうな料理を出しているし、ビールもたった0.5ドルからととても安い。通りを行く人も笑顔だ。自分と同じ観光客を見て、これまでよほど緊張していたのだろうか、急に肩の力が抜けたようにほっとした。
早速ビールの安い店に入り、ビールとFried Khmer white noodleとやらをオーダーする。出てきた生ビールを一気に飲み干すとさらにほっとして幸せな気持ちになる。こんなにうまいビールはいつぶりだろうか。
東南アジアの料理はうまくなさそうだなあと思っていたが、出てきたのはヌードル、人参、エビなどを玉子と炒めたものだ。スパイスが入っているのかとてもコクというか旨味があってうまい。ほんの少し辛いのと甘みがあるのがまたいい。あっという間に平らげ、あとは行き交う人々を眺めながらビールを3杯飲んだ。

食堂もある

腹を満たした後もしばらくパブストリートを歩きまわり、時間になったところでドライバーと無事落ち合えた。いい人なので明日からのアンコールワット巡りのドライバーも頼むことにした。
帰りにスーパーへ寄ってもらい水とビールを買うが、風呂に入った後はビールも飲めず眠ってしまった。

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