カナダへ短期留学していた頃の友達と6年ぶりに再会してきた。
カナダ日記で言うエミリー。
同じ語学学校の韓国人で、特に仲の良かった友達の一人だ。
実は日本で一度だけ会ったことがある。
エミリーがカナダから韓国へ帰国する時。
日本を経由して帰るので一日だけ成田へ滞在するということだった。
浅草でも案内しようとはりきっていたのだが、
ホテルへチェックインをしていたら時間がなくなってしまい、
結局見せられたのは夜7時、仲見世が閉まった後の人気のない浅草寺だけだった。
今回は友達と3泊4日で遊びに来るらしく、僕が会う3日目は
上野、銀座、六本木、東京タワーを一日で周るというハードなスケジュールだった。
エミリーの携帯は日本でネットは使えないが、友達のスーザンは使えるらしいので
iPhoneのチャットアプリで集合場所と時間を決めた。
当日は午後1時に上野駅集合。改札がたくさんあるので、
二人が行きたがっているアメ横に近い中央改札口で待ち合わせることにした。
なんせ6年ぶりだ。まして滅多に会えない海外の友達となると、
たまたま長い間会わなかった学生時代の友達とは重みが違うような気がした。
お互い一目見てわかるだろうか、英語はちゃんと話せるだろうか、
会ったらどう挨拶しようか、どんな話をしようかとか、考えてもしょうがないことを電車の中でずっと考えていた。
1時少し前にスーザンから「mou kitemasuka?」と日本語でメッセージが来た。
ちょうど駅に着いたところだと返すと、もう中央改札で待っているという。
急いで改札へ行くががエミリーたちの姿は見当たらない。
すると続けて丸井の前にいるとメッセージが来た。移動したのだろうか。
駅を出て横断歩道を渡り丸井へ着くがそこでも見つけられない。
メッセージを送ると「underground」と返ってきた。地下か?
丸井の中へ入ると駅へ向かう地下通路へ続く階段があった。
きっとここのことだ!と思い下へ降りていくと、降りた目の前に二人が座っていた。
急でびっくりしてしまったが
「エミリー…?」
と緊張しながら声をかけるとすぐに
「ヨシー!!」
と立ち上がってハグをした。
「久しぶりだねー!元気だったー?」
満面の明るい笑顔で話してくるエミリーは6年前と全然変わっていない。
一緒にさっきまでチャットをしていたスーザンとも挨拶。
二人は高校時代の同級生だという。
緊張してどんな話をしようかわからなくなったので、
とりあえずアメ横に向かおうと話す。
地上に上がってアメ横の看板を見るやいなやエミリーは
「これネットでよく見かけたやつだ!」
と大喜びしていた。
そういえばスーザンは日本は初めてなのだろうか。
英語で聞いてみると、エミリーと韓国語で何か話した後、
「前に 2回 来たことが あります。」
と日本語で答えた。え!日本語話せるのか?
聞くと以前韓国で10ヶ月日本語を習っていたらしい。
もうずいぶん前のことだから忘れちゃったけど、というが全然通じる。
さてアメ横と言っても売ってるのは食料品か安いアクセサリーばかり。
どうしようかと思っていると、エミリーがふと聞いてきた。
「ここは日本のスナックが売っているお店?」
「ああ、輸入物も多いとだろうけど、日本のお菓子もたくさんあると思うよ」
「本当!おみやげを買わなくちゃいけないんだけど見てもいい?」
入った先は二木の菓子。昔林家こぶ平がCMしていたあれだ。
会社の人20人くらいに買うらしく、どれにしようか迷っていたが
今たくさん買うとかさばるということで、結局韓国でも有名だというカップ焼きそばのUFOを一つだけ買った。
人ごみを歩いていたからか二人とも疲れたと言うので
ドトールでお茶をすることにした。
この二日間はどうだった?と聞くと、
おとといはお台場、昨日はディズニーシーに行ったが、
昨日はあいにくの雨で寒くて大変だったらしい。
しかも平日なのに思ったより空いておらず、
2時間待ったアトラクションもあったという。
それでもFPをうまく使ってcenter of the earthに二回も乗ったり、ショーや花火も見れて大満足だったという。

成田空港で買ったという、外国人専用のSuica
ここまで話しているのはエミリーばかりでスーザンはあまり話してこない。
スーザンを見て話しかけてもエミリーが返してくる。
英語でのチャットも素早く返ってきたし当然英語は話せると思っていたのだが、
もしかしてスーザンは英語はあまり得意ではないのだろうか。
日本語でスーザンにいくつか質問してみると、
思っていたよりたくさんの日本語が返ってきた。
なるほど人見知りというわけではなかったようだ。
「10ヶ月習っただけでそんなに日本語わかるの?」
「あとは日本のアニメかな。ブリーチが好きでよく観てたから。
そのおかげでリスニングは得意だけど書くのと読むのは全然ダメだってよく先生にも言われてた」
僕もカナダへ行く前に薦められて同じ洋画を繰り返し観ていたが、
あれも少しは効果があったのだろうか。
そろそろ店を出ようかという時、エミリーがバッグを広げて
「これ私たちからヨシへ」とプレゼントをくれた。
中を開けると名刺入れとキーホルダーのセット。
おおお…!こんなものを用意してくれてるとは!
ボキャブラリーが少なくて
「I’m so happy!!Thank you!!」くらいしか浮かばなかったが、
普段の何倍ものテンションで喜んでしまった。

店を出て次の目的地銀座へ向かう。
エミリーが文房具店の伊東屋へ行きたいのだそう。
韓国でも知られているんだろうか?
電車を降りて伊東屋のある通りへ差し掛かると
広がるホコ天にエミリーが驚いていた。
韓国にもホコ天はあるが、せいぜい2車線で、ここみたいに4車線分も広くないという。
時計台の前で写真を撮った後、着物姿の女性がたくさん歩いているのを見つけた。
二人とも「うわー!着物!ずっと見たかったの!」
と大はしゃぎ。女性たちに写真を取らせてもらえないか頼んでみると快くOKしてくれたのでみんなで記念撮影。
二人ともすごくうれしそうだった。
伊東屋はだいぶ混んでいて、ゆっくり立ち止まっては見れないほどの人だった。
早く買い物をすませた方がよさそうだ。
「何を買いに来たの?」
「idea productsなんだけど…」
「idea?どういうこと?」
「例えばiPhoneの後ろにペタッと貼り付けて、カメラの三脚にできるようなものとかなんだけど、ここにあるかな?」
なるほどガジェットみたいなのか!
「ここはペンとかの文房具を売ってるお店だからちょっとなさそうだねー。
これから行く六本木ならあるかもよ?」
「え!本当!じゃあ早く六本木に行こう!」
とすばやく銀座を後にする。
六本木ヒルズに着くと何より二人を驚かせたのは遠くに見える東京タワーだった。
「あれが東京タワーなんだ!」
「早く行きたい!」
と六本木ヒルズにはほとんど目もくれず。
結局中を少し見てすぐに次へ行こうということになった。
二人の目的はショッピングかと思っていたが、
現地の雰囲気が分かればいいという程度なのだろうか。
東京ミッドタウンでもそれは変わらず、
idea productsの店があるかもしれないと話して少し探していると、
「そろそろ東京タワーに行かない?」
ということになった。やはり買い物はそんなに重要ではないようだ。
この時点で午後5時過ぎ。もう少し暗くなればイルミネーションがきれいなのだが、
東京タワーの後に食事をすることを考えるとそろそろ向かった方がよい。
何より二人ともだいぶ疲れているようだ。
最寄り駅の神谷町へ着くと、辺りはもう暗くなっていた。
道を曲がって突然現れた巨大な東京タワーに
「大きいー!」
「オレンジ色だー!」
と二人とも大興奮で写真を撮っていた。

ふもとのチケット売り場で展望台のチケットを買う。
ここで売っているのは低い方の第一展望台のチケットだけで、
第二展望台へは第一展望台の中でさらにチケットを買うらしい。
なんせ僕も10年は上っていない。どんな仕組みか忘れてしまった。
エレベーターで第一展望台へ行くと、大都会東京の夜景が広がる。
「きれいー!東京だー!」
二人ともバシバシ写真を撮る。
とはいえ150mの第一展望台では、まだここより高いビルが無数にある。
「もっと上に行ったほうがずっときれいだよ!」
「本当?じゃあ行こうか!」
だが中にあるモニターを見ると、第二展望台に行く人が多くてあと1時間かかるらしい。
二人は少し韓国語で話した後、伺うように
「上に上ってみたいんだけど…。どう思う?」
と聞いてきた。
「OKに決まってるじゃん!何のために来たのさ!」
と答えると、ほころんだ笑顔を見せてくれた。
実際1時間かかると言ってもずっと並んでいるわけではなく
自分の整理番号が表示されたら乗り場に行けばよいので、
夜景を見ながら話したり、お土産を見ていたらすぐに時間は過ぎてしまった。
第一展望台からさらに100m上った第二展望台までくると
さすがに全ての建物が下に見える。
おおー!これこれ!これくらい高くなきゃ!と僕も大はしゃぎ。
二人もワーキャー言いながら外の写真をたくさん撮る。
今まで行ったお台場や、ディズニーシーを指さして教えるととても感激していた。

東京タワーを出てどこで夕飯を食べようか話す。
ここらへんににはあまりお店がないのはもう調べてある。
浅草の近くにホテルを取っていると言っていたので浅草を提案すると、
「浅草だとヨシは遠いんじゃない?だったら途中で通る東京駅で食べるのはどう?」
と言ってくれた。
お酒も飲みたいとのことなので、駅構内にある串焼きの店に入ることにした。
ある意味日本食ではあるし。
串盛りとチョレギサラダ、牛すじ煮込みを頼んでビールで乾杯。
くうーっ!うまい!やっと落ち着いたーとみんな安心した顔つきになった。
今日はみんな終始スケジュールを気にしていたから、
もうあとは酒飲んで帰るだけというのはなんとも気が楽だ。
飲み物のメニューを見てみると、日本酒がそこそこ置いてある。
「二人とも日本のSAKEは飲める?」
「ええー私お酒すごく弱いんだよねー。でもスーザンは強いよ!」
「いやいや私だって弱いよ!すぐ眠くなっちゃうもん」
「でも韓国じゃソジュ(焼酎)をストレートで飲むのが普通なんでしょ?カナダでソジュを飲んだけど、すぐベロベロになっちゃったよ!」
「ああー確かに割って飲んだりはしないねー。でも最近はビールにコーラを入れて、ソジュを一気したあとコーラ入りのビールも一気に飲むのが流行ってるのよ。Bombって言うの。すぐベロベロ(韓国語ではヘロンヘロン)になっちゃうから」
ビールにコーラ?シャンディガフのようなものなのだろうか…。
普通に会話しているように書いているが、
エミリーは英語は話せるが日本語は少しの単語しか話せない、
スーザンは日本語は話せるが英語は全く話せないので
僕は基本的に英語と日本語で話をする。
またはどちらかに話をしてそれを二人が韓国語で通訳しあうという
なんともわけのわからない状況だ。
疲れているのに加えて酒も入ったからか、
エミリーは日本語と英語をごっちゃにして話すし、
スーザンは日本語がわからなくなるし、
僕もエミリーに日本語、スーザンに英語で話しかけたりと
しっちゃかめっちゃかで笑いっぱなしだった。
気づけば日本酒も6合飲んでいたが、二人とも全く酔っていないという。
僕の方が酔ってしまった。
結局閉店の11時までいて二人をホームまで見送る。
とはいえこれでお別れではない。
さっき話して明日も同行することになった。
またすぐ会えるというのはいいものだ。
寂しくないのがうれしい。